伝わらない夫婦の会話の原因はこれ?!ーメラビアンの法則で変わる夫婦の会話
妻や夫に大変さ、辛さを全然受け取ってもらえない!
一生懸命”辛い”とか”大変”とか”手伝ってほしい”など、夫や妻へ言葉で伝えているのに、全然伝わらない・・・
そんな時は、”言葉”以外の伝え方にも目を向けてみるとよいかもしれません。
この記事では、【伝わらない】が【伝わる】に変わってほしい。
そんなあなたのために、メラビアンの法則をいかした夫婦の会話、コミュニケーションの方法をご紹介しています。
メラビアンの法則って何?
では早速、メラビアンの法則とは何か見てみていきましょう。
メラビアンの法則の大きなポイントは、こちらです。
では、この内容について次で詳しく説明します。
メラビアンの法則の概要
- アメリカの心理学者メラビアンによって1971年に発表された法則
- 人と人が初対面で直接顔を合わせるコミュニケーションにおいて、印象を決める要素を分析
- 言葉・声のトーン・ボディランゲージの3つの要素の印象に寄与する割合を調べた
- 影響割合の結果は、声=7%、話し方(声のトーン)=38%、ジェスチャー=55%
- 効果的なコミュニケーションのためには、三要素が同じ意味を表すことが必要
- この実験は、「感情を伝えるコミュニケーション」を対象としている
7-38-55ルールとは?=メラビアンの法則の別名
メラビアンの法則は、別名7-38-55ルールとも呼ばれています。
情報の種類 | 概要 | 影響度 |
視覚情報 | 見た目、しぐさ、表情、視線 | 55% |
聴覚情報 | 声の質や大きさ、話す速さ、口調 | 38% |
言語情報 | 言葉そのものの意味、会話の内容 | 7% |
メラビアンの法則の概要に「三要素が同じ意味を表すことが必要」とあります。
たとえば、どれだけ言葉で褒めたたえ美辞麗句を口にしていても、興味のない態度や表情であれば、マイナスの印象の方が強く伝わるということです。
「言語・聴覚・視覚」に不一致が起こった場合
これらの3つの情報が矛盾する状態で表現された場合に、受け手は「言語・聴覚・視覚」のどれを1番重要視するのかについて、メラビアンの法則では以下のような実験が行われたそうです。
笑いながら叱る
以前、竹中直人さんがネタでされていた「笑いながら怒る人」をご存じの方はいらっしゃるでしょうか?
メラビアンの実験では「笑いながら叱る」という言動の不一致で検証されたそうです。
この場合、以下のようになりますが、結果はどうなるのでしょうか?
笑いながら叱った場合の情報割合
- 視覚情報(55%):笑っている、明るい表情 =ポジティブ
- 聴覚情報(38%):低いトーン、怒った声 =ネガティブ
- 言語情報(7%):叱られている内容や言葉遣い =ネガティブ
合計すると、ポジティブ=55%、ネガティブ45%です。
半数以上を占める視覚情報が「笑っている」というポジティブな情報になるため、「怒っていない」という印象になるそうです。
ですが、話の内容や、声の調子から怒っていることも伝わります。そのため、「怒っているけれど、本気ではない」などと捉えたりする人もいるとのことでした。
夫婦の会話でメラビアンの法則を実験
この実験結果からメラビアンが導き出しているのは、”初対面での”コミュニケーションに影響する3要素の割合でした。
ですが、私たちの日常でもよくありますよね。
夫や妻が”大丈夫”といいつつ落ち込んでいる様子の場合は大丈夫ではない!とか、笑顔だったとしても”目が笑っていない”場合には違和感を感じるなど。
言葉とその他の情報の不一致による違和感を感じるシチュエーションは、仲の良い相手との間でもあるものです。
そこで、夫婦の対話の練習帳では、夫婦の会話で言葉の内容とそれ以外の話し方やジェスチャーの関係について実験をした内容をご紹介します。
夫婦の会話での実験
クライアントさんの協力を得て夫婦間で行ったの実験は、このようなものです。
夫婦の会話での実験方法
”いつもの夫婦の会話の際に、いつもよりもできる限り、臨場感や感情をこめて、表情にも気を配りながら、身振り手振りのジェスチャーも加えて相手に話をする。これを毎日続ける。
(疲れている時や、したくない時はせず、無理せずに2週間ほど続けた)
夫婦の会話での実験結果
受取手であるパートナーは、最初だけはいつもと違うことへの違和感を感じたが、数日続けるうちに慣れてきた。
少しずつ、伝え手が伝えたいこと(内容の温度感など)が伝わったということが相手の返事やその後の対応から受け取れるようになった。
話し手も最初は違和感が大きかったものの、だんだん慣れた。次第に伝えたいことが表現しやすくなってきた。
ジェスチャーをすることで気分も変わり、自然と表情も変わった。
夫婦の会話の実験から
ちょっとした実験でしたが、このことから、”同じ人が同じ内容を話す場合でもジェスチャーや話し方によって相手への伝わり方が全く異なる”という風にいえるのではないでしょうか。みなさんはどのように考えますか?
お金も時間もかからず、相手の協力もいらないご自身のやる気だけでできる方法ですので、よかったらチャレンジをしてみてください。
そして、その際には結果を教えてもらえると嬉しいです。
言語・聴覚・視覚の情報の受け取り方のタイプ
先ほどの実験では、言葉以外の伝え方を変えることによって相手の受け取り方も変わった、ということをお伝えしました。しかし、必ずしもそうなることが保証できるわけではありません。
その理由の一つとして、人には「認知特性」というものがあるからです。
認知特性とは
「認知特性」とは、目・耳・鼻などの主に五感を中心とした感覚器から入ってきたさまざまな情報を記憶したり、脳内で理解して表現したりする能力のことです。
「視覚優位」や「聴覚優位」、「言語優位」という言葉できいたことがあるかもしれません。
認知特性の分類
『医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン』(本田真美/光文社)によると人は以下の6つのタイプに分けられるそうです。
視覚優位者
(1)写真(カメラアイ)タイプ:写真や絵など二次元で考える
(2)三次元映像タイプ:空間や時間軸を使い三次元で考える
言語優位者
(3)言語映像タイプ:文字や文章を映像化して考える
(4)言語抽象タイプ:文字や文章を図式化して考える
聴覚優位者
(5)聴覚言語タイプ:文字や文章を音として情報処理する
(6)聴覚&音タイプ:音色や音階など音楽的イメージを脳に入力する
筆者は研究者ではないので、実際にメラビアンの法則と認知特性が影響をし合うとは明確には言えません。
でも、夫婦間のコミュニケーションの専門家として数多くの方と話をしたり、人の認知特性タイプを意識してきた中で、関係がないとは言えないのではないかと思っています。
夫婦の会話は意識と無意識の両方を意識する必要がある
一般的に、「言葉で伝える内容」対して私たちはある程度意識をしています。
しかし、コミュニケーションをとる時に、身振り手振りのジェスチャーや、話し方、声のトーンについては無意識です。
私たちは、興奮すると声が大きくなったり話すスピードが速くなったりします。怒っているときは語気が強くなります。
そのような部分は自分にとって無意識ですが、受け取る側にとっては重要な情報であることがメラビアンの法則で言われています。
もちろん、夫婦は初対面ではありません。
でも仮に、相手が起こっている時の様子を想像してみましょう。
「何を言っているか」という言葉よりも、その表情や醸し出す雰囲気(威圧感や焦りなど)、視線、声の大きさ、スピード、語気の強さなどの相手が無意識に発している情報の方が思い起こされます。
そういった目で自分を見ると、実際に目の前で相手が怒っている時も言葉よりも、話し方やジェスチャーの方が私たちに多大なる影響力があることは想像にたやすいのではないでしょうか。
メラビアンの法則の夫婦の会話への生かし方
表情やジェスチャーを大切にしよう
言葉では同じことを言った場合でも、表情、声のトーン、ジェスチャー(非言語の情報)によって相手への影響力、つまり伝わり方が全く異なります。
中々伝わらない、相手の伝えたいことがつかめない、という場合は、言葉以外の情報に目を向けてみましょう
夫や妻と楽しみながら実験しよう
非言語の情報を自分がどのように発しているのかを知るところからのスタートです。
自分を外から見るには鏡で見るには鏡で見ることが一番ですが、心理的ハードルが高いですよね。そんな時こそ、パートナーの協力を仰ぎましょう。
最初は「ご飯がおいしかった」の一言でも、満面の笑みでジェスチャーもつけながら大きな声で言ったり、下を向いて小さな声で言うなどの違いをお互いに楽しみ合って実験してみてください。
対話の出来る夫婦になっていこう
伝えたいのに、伝わらずに困っている、相手の伝えたいことがつかみきれないからなんとかしたいと思うのは、心の底に、夫婦が相手を理解し合いたいという気持ちがあるからです。
日常的に私たちが使う言葉は、心の中の素直な想いをそのまま表すものではありません。
言葉の交換だけではうまくいかずにイライラしてまう時、メラビアンの法則で学んだことも利用し、心の中の素直な思いを表情やジェスチャーも交えて伝え受け取り合う、想いの交換のできる夫婦になるために役立ててもらえると嬉しいです。