夫婦の会話の「大丈夫」を見直さなくて「大丈夫」?

体調悪そうだよ?大丈夫?

うん、大丈夫

重そうだね。持とうか?

ありがとう、大丈夫
人と会話をする時に、使いやすくて便利な「大丈夫」の言葉、夫婦の間でも無意識に使ってしまっていませんか?
今回は、「大丈夫」を使うことで、夫婦の会話が「大丈夫」ではなくなっているかもしれないというお話です。
夫婦の会話で「大丈夫」が持つ8つの意味と使い方
まずは、辞書([デジタル大辞泉)にも記載されている意味です。
大丈夫の意味①あぶなげがなく安心できるさま。強くてしっかりしているさま。

これなら地震が来ても大丈夫だね!

うん、絶対大丈夫だね!
大丈夫の意味②まちがいがなくて確かなさま

持って帰るの忘れない?

うん、大丈夫!
以降は、辞書上の意味ではないながらも、日常生活でもよく使うものです。
大丈夫の意味③不要

これ持って行かないの?

うん、大丈夫
「レジ袋はいりますか?」「大丈夫です。」のように、その物がいるか、いらないかの回答として、柔らかさを含む断り方として使われることがあります。
大丈夫の意味④可能・承諾

この日の予定大丈夫?

うん大丈夫
OK!了解!それでいいよの意味でつかわれる「大丈夫」です。
大丈夫の意味⑤問題がない、気にしない

ごめんお魚ちょっと焦げちゃった!

全然大丈夫。
「賞味期限きれちゃたけど大丈夫かな?」
「大丈夫でしょ。」
「これ、まだ使えるかな?」
「大丈夫じゃない?」
問題ないよ、気にしないよ、平気だよの意味でも使われます。
大丈夫の意味⑥放っておいて

明日資格試験っていってたよね、大丈夫?

あーもう大丈夫だって。
具合についてはさておき、これ以上この話題には触れないで、そっとしておいて。この話題には触れないで放っておいてほしいというようなときにも使います。
大丈夫の意味⑦心配してくれてありがとう

どうしたの?体調悪い??

うん、大丈夫だよ~
文字にすると、体調が悪くない、と答えているようにしか思えない「大丈夫」ですが、この短い一言の間にいろいろな意味を含めた会話が成り立つ夫婦もいらっしゃいます。
その中の意味の一つに、大丈夫=気遣いありがとうの意味が登場します。
このような単語はご家庭によっていろいろあるのかもしれませんね。
大丈夫の意味⑧断りの意味を持つ返事
距離感の近い夫婦間の会話では、以下のようにラフに使われることもありますが、人によっては「大丈夫」の意味がYesかNoか、もしくは相手が何を伝えたいのかわからず、どう理解してよいのかわからないという方も一定数いらっしゃいます。

これ新しいの買っておこうか?

あ~大丈夫
2夫婦の会話の「大丈夫」が大丈夫ではない理由5つ
①相手に負担をかけることだから
特に、答える側の意思がYesかNoが分かりにくい「大丈夫」の時、言われた側は相手側の意図を考えなければなりません。
誰かと会話していて、相手が「大丈夫」と答えた時に、いるからいらないのか、何が”大丈夫”なのか分からない経験があなたにも1つ2つありませんか?
YesなのかNoなのか、つまり、肯定または否定、要または不要のどちらなのかは、文脈や相手の表情、言葉のニュアンスから判断しないとわからない場合があります。
このとき、次の2つの手間を相手に負担させることになります。
相手にかける2つの負担
①相手に、”考えさせる”という負担
②それでもどちらの意味か判断がつかない場合は”聞き返させる”負担
このように、話すことによって疲れる相手には、積極的に話したい気持ちはなくなっていってしまいます。
②意味を相手の判断にゆだねることになるから
相手が「大丈夫」の意味を聞き返してくれる場合はまだよいでしょう。
しかし、何らかの理由で聞き返せなかったり、聞き返さない選択をする場合もあります。
すると、自分の回答の意味は、相手の自己判断によって決められることになります。
それが双方同意のうえでないなら、双方向のコミュニケーションとしては不健全なものにもなりえます。
③考えることをしなくなるから
①~③で見てきたように、「大丈夫」とだけ答えたら相手がどう思うかなどを考えたら、答え方は変わるはずです。

今日のご飯お魚がいいかなあ、お肉がいいかなあ

どっちでも大丈夫
「大丈夫」は、自分が食べるのはどちらでも大丈夫という意味なので、もし悩んでいる相手に寄り添おうと思ったら、例えば「昨日魚だったから今日はお肉もいいね」など、プラスの情報を付けて返事をするのもいいかもしれませんよね。
このように、もしかすると、「大丈夫」は便利なことばなので相手の立場で考えるということをおろそかにしているかもしれないと、振り返る機会にするのもいいい機会になります。
④表現力が衰えるから
「ヤバイ」と同じように、多くのことを「大丈夫」で返していると、自分の気持ちの機微を感じ、表現するという私たち人間らしい能力がだんだんと損なわれてしまいます。
⑤すれ違いにより、夫婦仲にひびが入るから
「大丈夫」を安易に使うことで、物事だけではなく、気持ちがすれ違っていくこともあります。
気持ちがすれ違う例
見るからに具合が悪そうなうさぎさんにクマさんは心配して声を掛けました。

「具合悪いんじゃないの?休んだら?」
こう伝えたところうさぎさんからは、

「あー、うん、大丈夫」
と言われました。
両者の心情
答えた側のうさぎさんは
”心配させたくない”
”体調はそこまで悪くない(はず)”
”我慢できる程度”
と思っているのでそのように答えたのでしょう。
でも、心配したくまさん側からみると、どうでしょうか。
「大丈夫」は否定・断りの意味ももつ表現なので、「大丈夫」の回答を
”あなたの心配は不要”
という風に捉えてもおかしくありません。
すると、大切なパートナーを気にかけた気持ちがないがしろにされたとか、自分では助けにならないと思ったり寂しく思う方もいます。
受け取る側の捉え方も改善する余地はありますが、このようにして、受け答えと捉え方による小さなズレでお互いの思いやりがすれ違いのもとになってしまうこともあります。
3「大丈夫」を別の言葉に置き換えよう
夫婦の気持ちのすれ違いを生み、夫婦仲にひびが入っていく原因にもなりえる「大丈夫」の言葉を別の言葉に置き換えていく方法を見ていきましょう。
その1ー気づく
まずは、自分が「大丈夫」という言葉を使った瞬間に気づくことがファーストステップです。
パートナーに自分が使いがちなシーンを聴いてみるのもいいですね。
その2ー言い換えのコツ
①感謝の言葉を添える
”大丈夫”と答える時には大概聞いてもらっている時なので、その質問をしてくれて(気にかけてくれて)「ありがとう」を添えると「その気持ちを受け取ったよ」と伝えることもできます。
②Yes、Noを明快に伝える
特に断りの場合は”言いにくい”と思う方もいらっしゃるかもしれませんが人には、「断る権利」がありますし、曖昧な表現で相手を悩ませることは、あなたが本当にしたいことでしょうか?
断りの場合には、特に、感謝の言葉を添えると伝えやすく・受け取りやすくなります。
「お腹がすいていないからまだご飯はいらないや、聞いてくれたありがとう」
③気持ちを伝える
”気持ちがすれ違う例”で出てきたくまさんとうさぎさんの会話を振り返りましょう。

「具合悪いんじゃないの?休んだら?」

「あー、うん、大丈夫」
感謝を伝えるのとのころでも書きましたが、もっとはっきりと
「気にかけてくれて嬉しい。けど、今のところ問題ないと思ってる。もしだめだったら言うね」
などと相手の気持ちは嬉しく受け取ったことを添えるのもよい方法です。
自分の気持ちが受けとってもらえたかどうかを人はすごく大切にしているものだからです。
夫婦の会話を対話にしよう
夫婦の会話の前提には、自分の心を表現し、相手の心の表現を受け取るという、人と人とのこころのつながりがあります。
「大丈夫」の言葉を見直すことによって、気の置けない相手だからこそ、その相手に感謝をして相手を悩ませない返事をすることについて振り返ってみる機会になったでしょうか。
自分も、相手も大切にする考え方と表現を知り、自分も相手も幸せな関係を築くことにお役立ていただけたら嬉しいです。