夫と妻の「話を否定される」問題から夫婦で卒業する方法

夫婦の気持ちがすれ違い、夫婦関係にほころびが生まれてしまう原因として

「話を否定する・される」こと

があります。


「話を否定されること」が
「自分を否定されること」に繋がり

思いやりがない、歩み寄れない、分かり合えないとなり、夫婦関係の継続が難しくなっていくからです。

この記事を読むと

  • 相手が自分を否定する理由
  • 相手が「否定されている」と感じる態度・表現

などが分かります。

この記事を読んで考え方をアップデートをすることによって、相手を否定する・されることから卒業し、自分も相手も大事にする気持ちの通い合う夫婦を目指せるようになります。

「あなたも私も幸せ」な関係を築くために、今回は夫婦の「話を否定される」問題について考えていきましょう。

「否定する・否定される」ってどういうこと?

くまさんは、すぐ話を否定するよね・・

うさぎさんだって、すぐ否定しない?

ほら、もう早速否定してきたじゃない

否定なんかしてないよ!

ここまでくると逆に微笑ましくなってしまうくらいですね。

本人は否定しているつもりはないのに、パートナーからは「否定されている」と言われたり、パートナーは思い切りこちらを否定しているのに「否定していない!」と言い張る・・・

夫婦あるあるです。

そこで、人はどのようなことを「否定している」「否定される」と思う(言う)のかを丁寧に見ていきましょう。

夫婦間の間によくある「否定」の6種類

①ダメ出し

洗濯物をそんな干し方したらだめでしょ。

「ダメ出し」とは、注意点や改善点を挙げて改善を促すことです。

言っている方は相手の言動が気に入らないために気分が悪い。
ダメ出しを言われた方も気分が悪い。

というお互いにとってよい気持ちがしないものです。


ダメ出しは自分では意識せずに言っていることも多く、発言の裏には”相手によくなってほしい”とか”自分の考えが正しい”などの考えがあります。

でも、相手には相手の考えがあります。


物事のやり方に絶対的な正解はありません。
(会社で決められたルールがある場合などは別です。また、多くの人が賛同する”妥当”なものはあります)


一方的に自分の正解を相手に押し付けることは、つまり相手の考えや行動をないがしろにする、否定していることに繋がります。

②口癖による否定(否定癖)

「いや、でもさ」
「じゃなくてさ」

口癖として使っている場合、「あー」とか「えー」などと同様に、本人にとっては無意識に発しているお決まりの言葉で、否定をしていることに心当たりが全くないことがあります。

相手の意見を聞いたので今度は自分の意見を言っているだけの場合もあれば、無意識に自分の意見が正しいと思って主張している場合もあります。

③相手を下げる

「この料理上手に出来たと思わない?」

「これくらい普通でしょ」

このような発言は、自分に自信が持てず、自分の方が優れていると思いたいがために自分を肯定しようとして起こります。無意識に相手を認めず、否定する(下げる)状態です。
この心理は「フラジャイル・ナルシズム」とよばれるようです。

これも、言っている本人は意識の上で相手を否定しているつもりはなくても、言われている方は「否定された」と感じるものです。

④”Why”による否定

「どうして電気をつけっぱなすの?」

「なぜ約束の時間に帰ってこないの?」

このようにして使われるなぜ・どうして(Why)は純粋な疑問ではなく、「あなたの理由はおかしい」という非難のニュアンスが含まれています。

これも、聞く側は相手を否定している”つもり”でなくても、言われた方としては、”責められた””自分を否定されている”と捉える方が多くいらっしゃるものです。

⑤暗に相手を否定する行動をとる

「洗濯物たたんでおいたよ」

あれ?たたみ方変わってる・・

言葉だけが相手を否定することではありません。

相手の合意なく何かを変えてしまうことは、相手にとって「自分を否定された」と思う場合もあります。

その行動が自分にとっては「否定していること」とは思わなくても、相手が「否定された」と思うならば、それが現時点での相手にとってのこたえです。

そのずれをほどいたり、お互いの考え方、感じ方を認め合うことが夫婦のコミュニケーションの醍醐味ともいえます。

⑥相手の話を受け止めずに自分の意見を言う

否定した・してないと言い合っていた、最初のくまさんとうさぎさんの会話を見返してみましょう。
先ほどと同じ会話です。

くまさんは、すぐ話を否定するよね・・

うさぎさんだって、すぐ否定しない?

ほら、もう早速否定してきたじゃない

否定なんかしてないよ!



ではこのまま、次の会話を聞いてみましょう。

くまさんは、すぐに話を否定するよね

そっか、うさぎさんはそう思うんだ。。自分ではそんなつもりないんだけど。どんな時にそう思うの?

例えば、この前「話を否定するよね」と言った時に、「否定してない!」って言われたときかな。

こちらのいい方も直接的で悪かったから申し訳なかったのだけど、その時は「くまさんは人の話を否定する」という内容だけじゃなくて、こちらが”そう思ったこと”自体も否定されたように思ったんだ。

そっか、、それはごめんね。

このタイミングだから言いにくいんだけど、うさぎさんにも同じように思うことがあるよ。

相手が「否定していない」という理由

夫婦の会話の中で「否定しないでほしい」と言っても、「否定なんかしていない」という返事がくるということがよくあります。

この理由は主に2つです。

  1. 自分が否定していることを自覚していない
  2. 自分の心を守っている

この2つについてそれぞれ見ていきましょう。

①自分が否定していることを自覚していない

私たちの脳は、私たちが思うよりも知らないところではるかに動いており、私たちが”意識”できる量は無意識の1/10以下だと言われています。

全ての情報を処理しきれたないために私たちは、情報を無意識に取捨選択をしています。そのため、口癖を自分で認識していないように、自分のふるまいに意識的にならないと「自分の言動が意識しきれません。

他人は知っている自分の癖も、自分では気づかないものです。

この場合は、自分のふるまいに対して自覚的になることがスタートです。



脳の処理能力については、こちらの記事の【相手がしてくれていることに気づかなくなってしまう理由】のところに詳しく書いています。

脳機能を逆手に取って夫婦円満!お土産コミュニケーションとは

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②自分の心を守っている

相手が自分の発言を「否定していない」という2つ目の理由は、自分の心を守っているから、というものです。

自分の心を守るって?

自分が相手を傷つけている、自分が間違いを犯しているかもしれないということを認めたくないために、無意識に自分は”間違っていない”と自分の心を守る心理が働くことがあります。


世間では「ウルトラマン思考」と呼ばれることもあります。

脳が自分を守るために、論理的に考える思考をシャットダウンする働きをしたともいえます。


一旦この状態になると、多くの人にとって通常の思考をすることは難しくなります。
こうならないためには、家庭内でも「心理的安全性」への意識が必要です。

もし、自分や相手の心が自分を守る状態になってしまったら、冷静になる時間を置いてお互いに気持ちを落ち着けて内省をし、伝え方を考えてから話し合うことが必要です。

「否定されている」は自分の受け取り方の問題?!

「否定している」「していない」という夫婦の会話の衝突が起こるのは、「否定」の意味が個人の受け取り方や捉え方によって異なるものだからです。

相手は否定しているとは思っていないパターン2つ

①意見の相違

ラーメンが食べたいな

私は餃子が食べたい

例えば、この例では、くまさんは、「ラーメンが食べたい」という自分の意見をうさぎさんに否定されたとも思うかもしれません。

でも、第三者からみると自分が食べたいものと、相手が食べたいもの、つまりお互いの意見が”話題(話し合い)のテーブル”にのっただけです。

この場合はどちらかが譲ることもよいでしょうし、ラーメン屋さんに行き、自分はラーメン、相手は餃子定食を食べるという両方が叶う選択肢を考えることもできるでしょう。

考えているその場では答えが出せない

週末、公園におでかけしない?

ん~そうだねー・・

この時のうさぎさんの頭の中を少し覗いてみましょう。

うさぎさんの思い

最近仕事で疲れているうさぎさんは、週末の予定を考えはじめたら自分の体力が心配になってきました。
くまさんと出かけたい気持ちもあるけれど、寝ていたい気持ちも頭の中に浮かんできます。

出かけられるかどうか今時点では判断ができないし、だんだん今週の仕事の大変さへの想像が頭の中で大きくなってきました。

そこで、言葉としては「ん~、そうだねー・・」で終わってしまいました。


一方、くまさんは、「公園に行く」という案にOKをもらえなかったので”否定された”と”感じ”ました。

一度や二度だけで”否定された”と考えるのは尚早ですが、話したことや提案したことに反応がなく受け流されることが積み重なっていくと、人は相手に自分の存在を受け入れられていないと考えてしまうこともあります。

この場合にできること
①決められない気持ち、事情を相手に素直に伝える

うさぎさんは、頭の中で思ったこと
『行きたい気持ちはあるけれど、仕事で精神疲労が大きいので睡眠時間を取りたい気持ちもある。だから、今すぐには答えられない』
という内容を素直に言葉にして伝えたら、くまさんはどのように思ったでしょうか。

何も伝えないよりも遥かにうさぎさんの事情を理解して、否定されたとは考えずにいられたかもしれませんね。

相手に伝えなければならないのは、Yes or No、もしくは白か黒の2拓ではありません。
グレーをそのまま説明することでもよいのです。

②相手の事情を気に掛け、想像する

くまさんは、うさぎさんの様子を見て”想像し思いやる”ことで、今この答えを相手に求めるのは難しそうだとも考えることもできます。

答えが今すぐでなくてもいいのなら、自分の気持ちと提案は伝えたので「金曜日までにどうするか教えてほしい」というようなリクエストをして返事を待つこともできるでしょう。

否定しあう関係から卒業する考え方

あなたは相手を否定したつもりはなくても、相手にとって”自分が否定されている”と感じると、相手は自分の意見にますます固執してしまいます。

ここで、大切な質問です。

あなたが大事にしたいことは

相手に”自分の意見が間違っていた”と謝らせて納得したいのか

それとも

この先も”自分も相手もいろいろありながらも一緒に幸せに”生きていきたいのか

どちらでしょうか?


法律等の社会的なルールなど、すべての人が安全に暮らすために守らなければならないものもあります。


一方、家庭内での考えなどは、二人で作っていくものです。


人は、日々学びながら自分で気づいて成長をしていくものです。

人は、変えたい、変わりたいと思うタイミングを自分で決めます。

自分の考えを押し付けるのではなく、お互いに気持ちよく考えや意見を出し合って悩み、考えていくことが幸せな二人になっていくためには大切です。


今はできなくても、意識と練習次第で人はどのようにでも変われます。

否定しあう関係から卒業するためにできること4つ

さいごに、お互いを否定しあう関係から卒業するためにできることを振り返りましょう。

①意見の違いがあることを前提に考える

夫婦は一緒にいることが多いので、自分と同じように思ってしまいますが、「自分と相手は違う人で、考えも違って当たり前」ということを忘れないようにしましょう。

意見に違いがあることを前提に考えることについては、こちらの記事の2番目のポイントも参考になります。

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②自分の返答に自覚的になる

反射的に返す自分の癖を知ることもよいですね。自分では気づいていない癖がないか、パートナーに聞くのもおすすめです。

③相手の意見を言葉ではっきりと受け止める

自分の意見を伝える前に、「あなたはそうなんだね」と、言葉にして明確に「受け止めた」というサインを出すことだけでも相手の印象は全く異なります。

相手の気持ちに余裕が出ることにより、そのあとに自分の意見の受け入れてもらえる可能性も変わります。

そして、そのことによって、自分も相手の意見を受け入れようとする思いが芽生えたり、心に余裕ができることにより、”2人の意見”をはぐくみやすくなります。

④いったんその場を離れる

それは違う、それは(自分にとって)受け入れがたいと思っても、それは反射的な反応かもしれません。トイレに行く、入浴するなどで一旦離れると内容をゆっくりと考えることもできますし、相手を否定しない受け答えの方法を考えることもできます。

相手との関係性を壊さないためには重要な方法の一つです。

まとめ:話の否定に悲しむ夫婦から卒業するには

時にはパートナーに「否定された」と思うこともあるかもしれませんが、相手の考えと自分の考えを出し合ったり、受け止めたりすり合わせたり、二つを合わせて新しい選択肢を考えていくことこそがコミュニケーションの神髄です。

「あなたも私も幸せに生きる」ためにこの記事を役立ててもらえたら嬉しいです。

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