夫婦の会話に役立つ ー話の”聴き方”講座【はじめの1歩】
パートナーはあなたの話を聴いてくれますか?
あなたは、夫や妻の話をきちんと聞いているのに、「話を全然聞いてくれない!」と言われてしまったりしていませんか?
夫婦の不満の上位ネタですが、これはなぜ起こるのでしょうか?
「話を聴いてほしい」
「話を聴いてあげたい」。
深いところでのお互いの気持ちはつながっているのに、それをうまく表現ができずに現実がつながらないこともあります。
この記事では、「話の聴き方」について分かりやすく具体的に書いています。
相手の話を”聴く”ことができるようになると、夫や妻を理解できるようになるだけでなく、自分のこともより理解ができたり、よりよい関係が築けるようになります。
では、私らしく、あなたらしく、二人が幸せに過ごすために必要な夫婦の会話の「話の聴き方」を学んでいきましょう。
夫婦の会話の3種類の”きく”
車の音がうるさいなぁ
うんうん、それは大変だったね
今日の帰りは遅いの?
上の3つはどれも”きく”ですが、「きく」には「聞く」「聴く」「訊く」の3つの種類があります。
3種類の”きく”
・「聞く」は音が耳に入ってくること
・「聴く」は相手の伝えたいことを理解しようと耳を傾けること
・「訊く」は、自分の知りたいことを尋ねること
夫婦の会話で一番重要なのは、どの”きく”でしょうか
”聴く”が重要な夫婦の会話
夫婦の会話で一番重要なのは、「聴く」です。
そこで、「聴く」についてもっと知っていきましょう。
「聴く」とは
×相手の声を耳に入れること
×内容を頭で理解するだけ
〇相手が感じていること、伝えたいことを受け止める・理解しようとすること
そのためには、耳や目だけでなく、心を使って相手の心を受け止める、なおかつそれを態度で表すことが必要です。
”聴く”を求めるのはなぜ?
ここで、質問です。
あなたには、夫や妻が自分の話を”聴いてくれない”ということが気になったり、パートナーの話を”聴けるようになりたい”と思ったなど、この記事を読んでいる理由があるはずです。
夫や妻に話を聴いてもらえる、もしくは話を聴けるようになると、相手からどのような表情・言葉を受け取ることができ、どんな夫婦関係になっていくでしょうか。
そして、あなた自身はどんな気持ちになれるでしょうか。
”聴く”ことに繋がる重要なことなので、記事を読みながらその答えも合わせて見つけていきましょう。
夫婦の会話に必要な”聴く”の本質
”聴く”には、「相手の立場に立って、相手の心の状態を理解する姿勢」が必要だということでしたが、これを理解するために次の会話をきいてみましょう。
転んじゃった。痛かったよ
それは痛かったね。痛いよね。
痛いところ、ばんそうこう貼ろうか。そうしたら少しは痛くなくなるかな?
小さな子供が転んでしまい、泣いている場面を想像してみましょう。膝から少し血が出ています。大人のあなたでも、膝をアスファルトにぶつけて血が出ていたら痛いですよね。
このとき
「痛かったよね」
と
「それくらい痛くない!痛くない!」
と言われることの、どちらが自分の状況や気持ちを理解してもらえていると感じられますか?
どちらの言葉が気持ちに寄り添い、痛みを分かち合ってもらえていると感じられますか?
「それくらい痛くない!早く泣きやみなさい!」と言われて育った方も多いかもしれません。
親世代はそのように言うのが一般的だったかもしれませんが、今は昭和ではありません。
表現、コミュニケーションの取り方は、より自分にも人にもやさしい考え方にアップデートされる世の中に変わってきています。
聴きベタさんが夫婦の会話でしがちなこと
先ほどの”聴く”本質をつかむことができたら8割方OKです!と言いたいところですが、自分がどれだけ心で相手を思い、相手に寄りそう気持ちでいてもそれを適切に表現できなければ、残念ながら相手には伝わりません。
そこで、この後は、実際に自分が相手の話を”聴いているよ”と伝えるためにも必要な3つの心得(考え方)と、10の”コツ”をご紹介します
夫婦の会話で、話を聴くために大切な心得5つ
ここからは、実際に夫婦の会話で夫や妻の話を”聴く”時に必要な考え方をご紹介していきます。
聴く心得①割り切れないこと、悩みのプロセスも大切にしよう
会社などでは”結論を先に述べる”が求められる場面もあります。でも、人間の会話は問題解決や議論のためだけではありませんし、コンピュータのように間違えることなく、さらにいつでも明確に、白黒で答えが出せるわけでもありません。
例えば、「旅行に行った」という結論を得るまでに、行く時期や行先を決めるまでの迷い、ワクワクした気持ち、天気や初めての場所への不安などを感じるなどのプロセス経るのと同じです。
日常のことや悩みはこれほど分かりやすいプロセスには感じられませんが、「ああも思うし、こうも思う」という心の動きや迷いもあるのが人間です。
それを悩みと捉え、考えるプロセスにこそ、その人らしさが現れます。
だからこそ、大切なパートナーに話す、聴く。
そんな夫婦の会話ができたら素敵ですね。
聴く心得②意見やアドバイスは、求められたら応えよう
夫婦の会話は多岐にわたりますが、「聴く」が一番真剣に求められる時というのは、悩みや困りごとに対する心の葛藤が起こっている時です。
そんな時、人は「頭では分かっているけれど、心がついていかない」や、「頭では分かっているはずなのに、どうしたらいいか分からない」という状況に陥ることがあります。
試験勉強をした方がいいのは分かっているけれど、やる気が起こらない・・。
そんなこと、ありましたよね。
その場で人から言われてあっさりできるくらいなら困りません。
不思議なもので、人は自分の”気持ち”を受け止めてもらえたと思うだけで動けるようになることもあるんです。
試験勉強しなきゃいけないけど、やる気がでないよ
勉強した方がいいけど、やる気が起こらない時ってあるよね~
そうだよね~、、ありがとね。仕方ない、やろうっかなぁ。
こんな時も
話して吐き出すことで気持ちをスッキリさせたい!だから話の腰を折らないでとにかく聴いてほしい!!という時もあります。
聴く心得③聴けない時は、聴けないと伝えよう
話を”聴く”というのは、積極的に頭と心と身体を使う動作です。
そのため、自分の心身が疲れている時やしなければならないことがある時やタイミングによっては”聴く”ことができないこともあります。
そんな時は、正直に「今は聴けない」ということを夫や妻に伝えてください。
同時に、今の事情を説明したり、タイミングのよい時を提案するなどの配慮ができると思いやりも添えられます。
聴く心得④「相手」の世界を理解する≠自分の世界
「相手」の世界を理解すること=自分もその世界を受け入れることではありません。
相手には相手の世界があり、自分には自分の世界が誰にでもあります。
相手の話を聴いている間は、相手の世界を理解する。
それを機会に自分の世界に取り入れるものもあれば、取り入れないものもあります。
多くの人は、人とそのように関わることによって、自分をアップデートしたり、自分の価値観を明確にしたりして自分を成長させていきます。
そのため、相手の話を聴くことを必要以上に怖れる必要もありませんし、必要以上に自分に取り込む必要もないのです。
聴く心得⑤相手の話に積極的関心をもつ
話を聞いているように「見えるだけ」では意味がありません。
頭の中、心の中でも同様に相手の話に耳を傾けることが”聴く”に必要なことです。
”聴いている”を表す10の態度 ー5つのOKと5つのNG
話しを聞く心得で学んだことを使って、せっかくあなたが心と頭で一生懸命話を聴いていても、残念ながら相手にそれが伝わらないと相手は”話を聴いてもらっている”と思えないのです。
そのくらい、話を聴くには、頭と心の中だけではなく、態度で示すことも必要なのです。
そこで、ここでは、相手に”話を聴いているよ”と伝えられる適切な表現方法をお伝えします。
夫婦の会話の”聴く”ー5つのNG
最初に、夫婦の会話で相手の話を聴く際に、しない方がいいことを5つご紹介します。
”聴く”のNG①自分の話にすり替えない
「聴く」とは相手の立場に立って、どんな思いがあり、どんなことを感じているのか、話す相手に何を理解してもらいたいのか、その人の心に寄り添うことです。
一生懸命聴いているからこそ自分の話をしたくなる気持ちが湧き出てくることもありますが、まずはその思考に気づくこと。
そして、ぐっとこらえられたら素敵です。
”聴く”のNG②決めつけない
決めつけないには2つのポイントがあります。
ポイント1:この人はいつもこうだからと先入観で決めつけない
夫婦は、良くも悪くも長い時間を一緒に過ごしてきたため、相手のことを分かっている気になります。
それにはよい面もありますが、人は常に変化をしていますし、”この人はどうせこうだから”と思っていると、相手の今の思いも聴けず、相手が変化したことにも気づけなくなってしまいます。
ポイント2:物事のいい・悪い、したい・したくない、できる・できない、こうあるべきだなどを自分の価値観で決めつけない
リンゴを見て「おいしそう」と思うか「剥くのが面倒くさい」と思うか、誕生日を「嬉しい」と思うか「嫌だ」と思うか、子どもを子どもの感性に沿ってのびのび育てたいか、きっちりとした教育環境を整えたいと思うかなど、すべてのことの価値観は人それぞれです。
そのことを頭の片隅に置いておいておきましょう。
”聴く”のNG③ながら"きき"をしない
話を”聴いてほしい”、と”聴いてあげたい”を成立させるには、話し手である夫や妻が話を”聴いている”と思ってくれなければ意味がありません。
そのためには、ほかのことをしながらではなく、目・耳・心をすべて、話をしている相手に向けることが必要です。
”聴く”のNG④否定しない
相手には相手の考え、感じ方があります。何を大事にし、何を正しいと思うか、何を選ぶかも、自分には自分の価値観があるように、相手には相手の価値観があります。
自分と「違う」ことは「間違い」ではありません。
なるほど、うさぎさんはそう思うんだ
”聴く”のNG⑤評価しない
いい・悪いやその他の評価についても絶対というものはなく、時代や国や環境や状況や個人が大切にするものによっても変わります。
夫婦の会話の”聴く”ー5つのOK
”聴く”のOK①環境を整える
話を”聴く”ためには、相手の言葉を聞き取る必要がありますし、話し手も聴き手も周囲のことやほかのことに気を取られずにいられる環境が必要です。
そのために、場所やタイミングを創るのはよいことです。
”聴く”のOK②視線・態度などの基本姿勢を整える
夫婦の会話を”聴く”ための基本姿勢です。
目から入る情報としては、視線、表情、姿勢、動作、相手との距離、服装など。
耳から入る情報としては、反応のタイミング、声の調子、声の大きさなどがあります。
話を”聴く”基本姿勢
- 「身体」・・・相手の方に身体を向け、相手との間に心地よい距離を置く
- 「目線」・・・時々相手の目を見つつ、基本視線は相手の胸のあたり
- 「表情」・・・相手の話の内容に沿うものが好ましい
ときどき、自分にとっては無意識のしぐさが相手にとっては”聴いていない”と思われる態度であることもあります。一番関係の近い夫婦だからこそ、自分の心と外から見える態度が一致しているかを素直に聞いてみるのもいいかもしれませんね。
”聴く”のOK③適切なリアクションをする/その1:あいづち、繰り返し
時折、適切なリアクションでタイミングよく的確に、相手の言った言葉をどう受け取ったかを短く伝え返すと相手はよく分かってもらえたと実感を持つことができます
聴いているサイン
- 「あいづち」・・・なるほど、へぇ~、うんうん、それで
- 「確認」・・・繰り返し(相手の言った言葉を短くそのまま反復)、要約
”聴く”のOK④適切なリアクションをする/その2:質問
相手が考えを進めるための質問や、相手の話を自分が理解するために必要な質問などの種類があります。
最初は質問の種類を意識するだけでもこれまでとは全く違った”聴く”ができるようになります。
”聴く”のOK⑤言葉の内容以外にも意識を向ける
人は、言葉で話している内容以外のメッセージも無意識に発しています。表情、しぐさ(握りこぶし・唇をかみしめる・うつむく等々)、声のトーン、話す速度など、それによって何を感じているのか、何を伝えたいのかにも意識が向けられると、相手への理解が深まります。
また、その言葉の裏にある心情にも目を向けていくと”相手の内なる声を聴く”ことができるようになります。
夫や妻の話を”聴く”の目的は?
さて、あなたは”聴く”に興味を持ち、この記事を読んで下さいました。
夫や妻の話を聴ける、聴いてもらえるようになると、どのような思いに変わり、どんな夫婦関係になっていきそうでしょうか。
そして、あなた自身がどんな気持ちを得られそうでしょうか。
話を”聴く”が叶えること
相手の話を聴くことは、相手の世界を理解することに繋がります。
相手の世界を理解しようとすることは、「私とあなた」という夫婦関係を築くために必要なことです。
それは、「私たち」という夫婦関係を築くための一歩になります。
夫婦のカタチは夫婦それぞれです。”聴く”が必要のない二人もいるでしょう。
でも、多くの人にとっては、相手の話を”聴き合う”ことによって、相手を理解し、自分を理解してもらい、もっと自分達らしいよい関係が築けるようになります。