夫婦の会話時間と影響 ー各調査から分かること
夫婦の会話時間
今回は、国内の夫婦の会話時間に関する調査をもとに、「夫婦の会話時間」についてみていきたいと思います。
【15年の推移でみる、夫婦の時間】調査
まずはじめに、時計で有名なシチズン時計株式会社が2020年に【夫婦の時間】調査と題して、全国の既婚男女400名を対象にした意識調査をみてみましょう。
https://www.citizen.co.jp/research/time/20201117/index.html
調査概要
- 期間
2020年10月2日~10月4日 - 方法
インターネットによる調査(インターネット調査会社を通じてサンプリング・集計) - 対象
20代・30代・40代・50代~の全国の既婚男女400人
(対象はあくまで既婚男女であり、それぞれの夫婦(カップル)に聞いたものではありません)
20代 | 30代 | 40代 | 50代~ | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 50人 | 50人 | 50人 | 50人 | 200人 |
女性 | 50人 | 50人 | 50人 | 50人 | 200人 |
※400名中、共働き56%、非共働きは36.5%、共に働いていない方が7.5%
2005年の調査では、共働き39.5%、非共働き60.5%
文中・表内の百分率(パーセント)の数値は小数点第2位を四捨五入しています。
そのため、合計が100%にならない場合があります。
シチズン時計 HPより
夫婦の会話時間【2020年】
夫はトップがそれぞれ20%で、30分と3時間以上。妻は「3時間以上」がトップで32%ということでした。
ただし、グラフをよく見るとこの結果は、15分、45分、1時間30分よりも、切りのいい時間に回答がよっているようにもみえます。そのことからも分かるように、正確な時間ではなく、”感覚”で答えているからかもしれません。
一緒にいる時間=会話時間でいいのかな。
実際に会話している時間じゃない?
それだと、1日3時間会話するのだと、朝1時間早朝MTG、夜は毎日2時間飲み会(晩酌)やるくらいじゃないと無理じゃない??
そうだね、じゃあ、、動画見ながら話すみたいなのもありなのかも?!
実際に自分が自宅で平日に1日3時間以上夫婦の会話時間をとることを想像しましたが、これはなかなか難しい気がします。
「会話時間」に明確な基準がないようなので、回答者の意識によってかなり状況が違うとも考えられます。
妻は3時間以上が32%、夫は3時間以上が20%と12%もの開きが出ているのが気になるね。
その差のところ・・・夫は会話をしていると思っていない・・・のかな💦
まさに”意識調査”が洗い出した結果だね!
夫婦の会話時間【2005年】との比較
2005年は会話時間が夫・妻共に0%でしたが、2020年は夫4.5%、妻3.5%に増加しています。
平均時間は夫、妻ともに「1時間30分」前後だが、夫は7分減少、妻は10分増加となっています。
第3回 家族についての全国調査(NFRJ08)
続いては、全国家族調査による夫婦の会話時間の調査結果です。
2019年に第4回全国家族調査が行われていますが、会話時間に関する内容が第4回にはなかったためこの記事では第3回の調査内容を参照しました。
なお、国内においては基礎研究などに予算がつかないために研究が困難となるケースなどが社会問題として声があがっていますが、このような”家族”に関する大規模調査を行うこともそういった分野や社会構造上の難しさ、ねじれともいえるおかしさがあるようです。
個人としては、社会を構成する最小で最多の組織である家族について実態を知ることは、変化の激しい中で人が人と幸せに生きるために必要なことを見出すためになくてはならないことだと考えています。そのために、必要な社会構造となっていくことを願います。
調査概要
調査名:第4回全国家族調査
対象:日本国内に居住する1946〜1990年生まれの日本国民
標本サイズ:5,500人(回収数3,033人[うち132は郵送調査]、回収率55.15%)
実施法:訪問留置法(不在者には郵送調査法での補填を行った)
実査時期:2019年1月〜4月調査票対象者を出生年によって3層(1946〜1955年生まれ、1956〜1970年生まれ、1971〜1990年生まれ)に分け、調査項目の一部が異なる調査票を使用した。
夫婦の会話時間調査結果データ
夫婦の会話時間【平日】
平日では、43-52歳の男女が0分~30分未満が最も多く4割弱となっており、自ずと男女ともに3時間以上が最も少なくなっており、それより若い年代、年上の年代では会話時間が増えています。
夫婦の会話時間【休日】
休日では、28-32歳の男女の3時間以上の会話時間が他年齢より突出して多くなっています。(男性で48.1%、女性で47.8%。他年齢は概ね20%台)
続いては、夫婦の会話が夫婦関係に与える影響についての調査をみてみましょう。
夫婦の会話と夫婦関係に与える影響
夫婦の会話量調査
こちらは、江崎グリコ株式会社が実施した夫婦の会話量の満足度と、夫婦で過ごす時間の満足度についての調査です。
こちらの調査での”会話量”は”感覚”を対象としています。
https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M101037/201911183599/_prw_OR1fl_K42kXK88.pdf
調査概要
- 実施時期:2019年8月29日(木)~9月1日(日)
- 調査手法:インターネット調査
- 調査対象:全国の20代~60代の配偶者と同居し、配偶者との離婚意向のない男女 1,000人(男女500人ずつ)
※構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合があります。
調査結果
夫婦間の会話量の満足度と夫婦で過ごす時間の満足度について、どちらも約7割の人が「満足」と答えています。
しかし、夫婦で過ごす時間の満足度を会話量の満足度別に見ると、会話量に満足と答えた人は、夫婦で過ごす時間の満足度も90.6%(とても満足+満足+やや満足)と高いと答えています。
一方、会話量が不満と答えた人は、夫婦で過ごす時間の満足度が23.8%と低く、6割近くが「不満」(58.4% とても不満 +不満+やや不満)と答えています[図4]
また、配偶者への総合的な満足度を聞くと、会話量に満足していると総合的な 満足度は94.4%と高いのに対し、会話量に不満があると41.6%と低くなっています[図5]。
この結果から、夫婦の会話時間の不足は夫婦で過ごす時間だけでなく、配偶者への総合的な満足度にも影響を与えてしまうようです。
夫婦のコミュニケーションが 関係満足度に及ぼす影響 ―自己開示を中心に―
夫婦のコミュニケーションを,夫婦の会話時間と配偶者への自己開示の 2 側面からとら え夫婦関係満足度への寄与について行った研究について、概要を抜粋します。
妻では,中年期より子育て期の方が会話時間,自己開示とも関 係満足度への寄与が大きく,夫とのコミュニケーションが保障されることが関係満足度を高め るといえる.一方,夫では,子育て期は会話時間が,中年期では自己開示が関係満足度を規定 していた.妻の夫への自己開示はいずれのライフステージでも夫の関係満足度を高めていた.
文京学院大学人間学部研究紀要 Vol.9, No.1, pp.1 ~ 15, 2007.12
夫婦の会話時間の調査結果から考える私たち夫婦の会話時間
会話時間は、年齢や家族のおかれている状況によって当然異なりますが、夫婦の会話時間は夫婦関係に影響を及ぼすということが「夫婦の会話量調査」「夫婦のコミュニケーションが 関係満足度に及ぼす影響 ―自己開示を中心に―」から言えることがわかりました。
ただし、どの調査においても「会話時間」自体の定義がないため、テレビを見ながらCMごとに一言会話する時間も含めるのか、会話自体を楽しむ時間なのかは人によって判断が異なっている可能性もあるのではないでしょうか。
そこで、今回、実験結果を見ながら実際に、私たち夫婦はどのくらい会話をしているのかについて考えてみましたが、想像で会話時間の予測をすることは思いのほか難しいと思いました。
そのため、睡眠時間同様に会話時間を測れるアプリがないかと思い探してみたところ、このようなものはありましたが今回欲しいデータが取れるものではなさそうでした。
そのため、自分たちがどのくらい会話をしているのかは、計測してみたいと思います。
その際には、”会話をできている”と気持ちが満たされる感覚と、”会話をしている”事実のどちらでとるかによっても差が出そうな気もしています。
結果は、アップまでお待ちください。