”何かが違う”違和感から自分らしさを知る方法
意気投合し、惹かれあって一緒に過ごすようになった夫婦でも、日々を過ごす中で、相手の言動や価値観に対して引っ掛かりを感じることがあります。
「そっか、そうなのかな・・」
と思って素直に受け入れてみることもあるでしょう。
でも、理由は分からずとも心に引っ掛かりが残ったり、同じようなことで何度も”そうなのかなあ?”と思うこともあったりします。
自分の考えに自信がなかったり、相手から何度も言われたりすると、せっかく最初に”違和感”として心の声が教えてくれたシグナルも頭の中の”考え”がかき消してしまいます。
だけど、実際に私たちには”何かが違う”と感じる能力があり、それは私たちの”自分らしさ”を教えてくれるものです。その自分らしさにつながる感覚を打ち消してしまうことはとてももったいないことです。
そこで、この記事では、”違和感”について学び、”違和感”が教えてくれる自分らしさを受け取る方法について書いていきます。
違和感を感じる時
”違和感”にはいくつかのタイプがあります。私たちはどのような”違和感”を感じることができるのか、まずはそのタイプを理解しましょう。
(1)物事に対する違和感
主に、普段取り組んでいることや、関わっていることに対していつもと何かが違った時に、理由は分からないけれど”何かがおかしい”と感じることがあります。
例えば、ちょっとしたものの配置の違いかもしれませんし、何かの減り具合、進み具合、スマホや家電の挙動など、ありとあらゆる物事に対する”何か違う??”という、違和感です。
(2)身体(体調)への違和感
目には見えなくても、私たちの身体の働きからも私たちはいつもとの違いを感じるとることができます。たいした違いではない気がする、けれどいつもと何かが違う気がする・・
そして、病院で検査をしたら異常が発見されたということがご自分の経験にあったり、友人のお話などどこかできいたことがあるのではないでしょうか。
身体から発せられ、受け取る感覚ですが、五感(視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚)のどれかにきれいに当てはめることのできない”感覚”もいつもの違い、つまり”違和感”として私たちは受け取ることができます。
身体への違和感で台風や低気圧がくることがわかる人もいます。
(3)未来(これからやろうとすることに)に関する違和感
予約を取る時に違和感を感じたので、移動予定を1日ずらした・・・
すると、元々移動する予定だった日は天気が大荒れで交通機関がマヒして動けなかった。このように根拠はないけれど、何かが違うように感じることがあります。
”未来の進むべき道”も違和感が教えてくれることの1つです。
先ほどの例はある程度直感力を鍛えないと感じられないかもしれませんが、大なり小なり、人間には誰しも自分の未来に対する道を感じられる力はあります。
例えば、就職活動で会社選びの時、規模で選べばA社だけどどうしてもB社にひかれることや、仕事のオファーでC社の方が条件はいいのにどうしても踏み切れないことなど、論理や打算で考えれば明らかに右なのに、そちらに素直に進めないということを自分の心は”違和感”(何か違う)として教えてくれます。
今、夫婦関係について悩んでいることは、もしかすると、自分の無意識が”今のまま進む未来ではない方がいいかもしれないよ”と教えてくれているのかもしれませんね。
(4)人に対する違和感
ここに大きな違和感を感じてこの記事を読んでいる方も多いかもしれませんね。人に対する違和感の源は、相手の矛盾を感じ取ったことから生まれる違和感と、自分と異なる”考え方・価値観”に関する違和感が主なものです。
①言動の不一致から来る違和感
本人に悪気はなくても、言葉で言っている内容と行動にズレがあることは誰にでもあることです。私たちが頭の中で信じている価値観や規範と、その反対に自分がとっている態度や行動の規範が異なることについて、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院の組織学習センターの責任者ピーター・M・センゲは「学習する組織」の中で「使用理論」と「信奉理論」と表現しています。
最初にも書いたように、誰にでも言動の不一致は起こりえます。
しかしながら、それが自分にとって見過ごしてはいけない時、最初は何がおかしいのか、何を見過ごしてはいけないのか分からなくとも、私たちは”何かが違う”という違和感でそれを感じ取ることができます。
②価値観の相違による違和感
相手の言葉に対して初めから”考えが違うなあ”と思うこともありますが、最初はどこが違うのかわからないときに”違和感”を感じる時があります。
いい例えかどうかは分かりませんが、自分の家に遊びに来た友人が持ってきてくれたお菓子を開けた側から、友人に包み紙を”これ捨てておくね”と何気なく言われ、”うん”と答えたものの、なんだか違和感として自分の中に残っていた言葉があるとします。
あとからじっくり考えた結果、”自分は、(渡したものだとしても)人の物を自分主導で捨てることはしない”からなのだと分かったとします。
このように、”いい”や”悪い”ではなく、相手が何気なく言った一言や相手のちょっとした行動に感じた違和感を紐解いていくと、自分の価値観が見えることがあります。
③相手の自分に対する価値判断を教えてくれる違和感
相手のちょっとした言葉や態度から、本音の部分では自分のことを大切にしていなかったり、下に見ていることが分かるようなことがあります。そんな時にも、最初は理由の分からない”違和感”を通じて気づきが訪れることがあります。
④嘘を感じ取ったことからくる違和感
私たちは相手が故意に嘘をついている時、100%ではありませんが”何かがおかしい・違う”と感じ取ることができます。相手は嘘がばれないように、いつもの通りの言葉・行動をしていたとしても、私たちには言動や雰囲気やいつもとの繊細な違いを感じとる能力が備わっていて、それを”違和感”として受け取ることができます。
言葉と表情の不一致を感じ取ることについてはこちらの記事が参考になります
⑤いつもと違うことを知るための違和感
いつもと同じように「おかえり」と言った時にも、相手も意識していない表情、声のトーン、しぐさなどから「あれ?今日何かあった?」というような気付きをイメージすることはできるでしょうか?
物事に対する違和感のところでも書きましたが、人に対しても”いつもと何かが違う”と違和感を感じ取ることがあります。
⑥集団の中にいる自分に対する違和感
その集団の中にいる自分に対して違和感を感じることがあります。集まった人たちの誰が悪いわけでも嫌いなわけでも、自分が貶められているわけでもなく、単純に、自分の居場所はここではないと心のシグナルのような違和感を持つことがあります。
(5)場所に対する違和感
場所自体に対して、緊張ではなく、特定の場所でなんとも居心地の悪さの感覚をもつこともあります。
このように覚えた違和感を否定せずに受け止めることが大切です。
しかしながら、違和感を覚えた事についてまずは”決めつけ”ではなく”仮説”として、その物事や人に対して注意深く観察していくとよいでしょう。
次に、違和感の理解の仕方についてみていきましょう。
違和感の理解の仕方
違和感に対して、どのように考えればよいのでしょうか。その答えは、シンプルです。
ただし、先ほども書いたように、違和感を覚えた事について”決めつけ”ではなく”仮説”として、その物事や人に対して注意深く観察していくことが必要です。
自分の感覚が”正しい””常に正解である”と考えてしまうことにも注意が必要です。
あくまで自分の心が発するシグナルを受信したという”感覚”なので、相手が間違っているというわけでもありませんし、必ずしも正解だとも限りません。
簡単なものだと、だまし絵などからも分かるように、人間の脳は勘違いをしたりだまされやすいものだからです。
でも、それをはるかに超えたところで自分にとって大切なことを見抜く力が”違和感”として私たちにそれを伝えてくれることもあります。
そのため、「自分が自分の感覚を受け止め、信じるスタンスをもつこと」も求められます。
自分の感覚を信じることと、常に正しいわけではないと知っておくことのバランスをとりながら違和感を理解していくことが大切です。
違和感は自分らしさを知るチャンス
違和感は、物事や相手に対して感じることによって、自分に気づきを与えてくれるものです。
単純に”いつもとの違い”に気づくのだとしても、自分では意識せずに普段から自分には取り込まれている情報があるからこそ、違いに気づくことができるのです。そのことによって、自分では認識せずとも持っている自分の能力があることを知ることができます。
人の言動に対しては違和感をもったことによって、すんなりと受け入れない理由が自分にはあり、その理由を探ることによって自分の価値観を知ることができます。
もし、人間だれしも同じだったり、何がどうでもよいのなら、”何かが違う”と違和感を覚えることなくすべての物事が進んでいくかもしれません。でも、そこに違和感を覚えるということは、そこにあなたの考えや価値観があるということなのです。
違和感を大切にしよう
”違和感”を感じることは、私たちにとってとても大切な能力の一つです。
違和感を大切に
その感覚に蓋をしないこと。
自分を信じること。
違和感は、ほかの人と違うからこそ感じる、自分らしさを示してくれるものです。
その自分の感覚を大切にすることは自分らしく生きることの重要なポイントの一つです。
自分の感覚や自分の心の声を大切にして、自分らしく、あなたらしく、幸せなわたしたちの関係を築くお手伝いができると嬉しいです。